牛乳ベースのカクテル「モーニングフィズ(會舘フィズ)」。ジンフィズに牛乳を加えた、まさに大人のための牛乳です。実はこのカクテル、戦後まもない東京で誕生しました。当時のGHQ本部から近く、アメリカ軍将校達の社交場として利用されていた「東京會舘」で、朝から目立たないようにこっそりお酒を味わいたい、とのリクエストで作られたのが始まりだそうです。牛乳とジンにレモンジュースを加えるため、牛乳のたんぱく質がレモンの酸によって固まらないように作らなければならず、バーテンダーの力量が問われるカクテルともいわれています。
世界3大美女として知られるクレオパトラは、美容のために牛乳風呂に浸かっていたといわれています。牛乳に含まれるたんぱく質分解酵素が古い角質を除去し、ビタミンや脂質がお肌をしっとりと整えるため、美肌をキープするのにぴったりなのです。さらに、牛乳を飲めば、豊富なたんぱく質やカルシウムの作用で爪や髪が丈夫でつやつやになるという嬉しい効果も。体の外側からも内側からも「きれい」を目指せる牛乳は、今も昔も美容の強い味方です。
銭湯の湯上がりといえば、「瓶牛乳」というイメージをお持ちの方も多いのでは。しかし、どうして銭湯で瓶牛乳が広く売られるようになったのでしょうか?答えを解く鍵は昭和30年代にありました。まだ冷蔵庫が一般家庭に普及していなかったこの時代、とある牛乳メーカーが、冷蔵庫の普及率が高かった銭湯に営業をかけたのがきっかけなんだとか。さらに、牛乳には風呂上がりの貧血に効果があるビタミンも含まれているので、理にかなった組み合わせでもあるのです。
牛乳でつくられるものといえばチーズやバターなどの食品が思い浮かびますが、皆さんの身の回りにある意外なものが牛乳を原料に作られているのをご存知ですか?そのひとつがピアノの鍵盤。一部のものは、牛乳のたんぱく成分「カゼイン」を原料とする「カゼインプラスチック」という物質で作られているのです。象牙のような質感で、機械加工がしやすいという利点を持つカゼインプラスチック。元は牛乳なので、土に返すことができるエコな素材としても注目されているそうです。
日本には6世紀頃に伝わったとされる牛乳。その受容や利用は時代とともに変化してきましたが、日本を代表する歴史小説家・司馬遼太郎氏の名作『国盗り物語』で、牛乳と戦国武将・織田信長とのこんなエピソードが紹介されています。当時は牛乳文化が廃れていた時代で、「牛乳を飲むと牛になる」という迷信が出回っていました。少年時代の織田信長は、迷信をものともせず牛乳を飲んでいましたが、そのことをたしなめられると「牛に本当になるかどうかを試しているのだ」と答えたそうです。子供のころからの豪傑ぶりが垣間みえますね。